TOP PAGE | INFORMATION | REPORT | LIBRARY | LINK

諫早湾干拓「事業継続」を答申した
事業再評価第三者委員会への抗議声明

 諫早湾干拓事業の再評価を審議していた九州農政局事業再評価第三者委員会が、7月7日、事業継続の答申を出したことに対し、諫早干潟緊急救済本部・東京事務所、有明海漁民・市民ネットワークは以下の抗議声明を発表しました。


2006年7月7日

加藤治委員長以下、事業再評価第三者委員会への抗議声明

有明海漁民・市民ネットワーク
諫早干潟緊急救済本部・東京事務所

 諫早湾干拓事業の継続を認めた事業再評価第三者委員会に強く抗議する。
 今、この場はごまかせても、歴史はこの不当な第三者委員会を断罪するに違いない。

 もちろん確信犯である農水省もこそが責められるべきではあるが、いやしくも事業の再評価を使命とする委員会の場において、すでに広く指摘されている事業の問題性すら真剣に取り上げることなく、農水省の希望的観測にすぎない、バラ色の事業計画を追認した第三者委員会の責任はきわめて重い。

 私たちは、『市民による諫早干拓「時のアセス」2006』と題する報告書をまとめ、すでに第三者委員会にも配布した。この報告書の中で、諫干事業に関する問題点をあらためて明らかにし、有明海への漁業被害などを加味した事業の費用対効果は、わずか、0.19にすぎないことを示すとともに、たとえ事業が名目上の「完成」に至ったしたとしても、潮受堤防の水門開放、あるいは潮受堤防の撤去などを含めた抜本的な代替策を検討した方が、社会的に有益であることを示した。

 しかし、第三者委員会は、私たちからの問題提起を無視し、事業の問題点についての有効な検証を行わなかった。そればかりか、農水省と歩調を合わせ、事業の副次的な効果などをことさらに喧伝するなど、まさに許し難い限りである。

 諫干事業が有明海の環境に大きな影響を与え、漁業被害の原因となっていることは、司法の場でも、否定できない事実となっている。調整池の水質改善など、諫干事業の営農計画の前にも、困難な問題が課題が山積している。
 事業の投資効果についていえば、費用対効果を改善させる代替案を、市民側が示しているにもかかわらず、費用対効果が1を大きく割り込むことが明かな事業を、そのまま放置することは、税金の無駄遣いを放置することに他ならず、事業再評価第三者委員会としての責任を放棄したに等しい。

 さらにいえば、今回の事業再評価第三者委員会の進め方は、事業の見直しを迫った2001年度の事業再評価第三者委員会に比べても、拙速であり、真剣さに欠けるものであった。最終的な意見のとりまとめにおいて、字句の修正レベルでの意見がいくつか出されていたが、きわめて空虚であった。第三者委員会は、この問題の大きさ、深さを全く理解していないと言わざるを得ず、傍聴した漁業者や市民は、怒りを通り越し虚しさを覚えるばかりであった。
 諫早湾干拓事業の継続によって、有明海異変が恒常化し、買い手のつかない干拓農地とともに、未来世代への大きな負担となることは確実だと思われるが、再評価第三者委員会は農水省とともにその責任を負うべきである。

 無駄な公共事業の代名詞ともなっている諫早湾干拓事業に、最後のお墨付きを与えた事業再評価第三者委員会に対し、私たちは、あらためて強く抗議するとともに、諫早湾に豊かな干潟を取り戻し、有明海が宝の海として再生する日まで戦い続ける決意であることを、ここにあらためて宣言する。

以 上


TOP PAGE | INFORMATION | REPORT | LIBRARY| LINK