諫早市の小野地区と隣の森山町は、今や諫早湾干拓推進の最右翼の地域として全国に知れ渡っております。これから何回かに分けて、この地域かなぜ干拓推進最右翼で固まっているかという、この地域の特殊性について連載していきたいと思います。それによっていかにこの地域の住民か干拓推進に追いやられてきたのか、単なる「公共事業無駄論」では割り切れない、「公共事業待望論を産む構造」からどうして日本人が脱却てきないのか、ということを浮き彫りに出来たら幸いと存じます。

水がないから水が溜まる

 さて、今年の諫早湾締め切り後に何度か起きた大雨でこの地域の水田などが大規模に冠水したのを見て、「なんて水が多い地域なんだ。」と思われた方も多いことでしょう。しかし、今回まず明らかにしておきたいことは、「水がないから水が溜まる」という逆説に満ちたこの一言なのです。そしてまた、このことがいかに深くこの地域にとっての桎梏になってきたかということをこれから明らかにしていきたいと思います。

 もし皆さんのお手元に諫早湾の地図がありましたら膝の上にでも広げてみて下さい。小野・森山のある所、そこは島原半島の付け根の最もくびれた所に当たっています。地峽部、それか小野・森山の置かれた自然条件なのです。この地域はその地峽のくびれ故に非常に浅い山しか抱えていません。つまり、ごくごくわずかの痩せ尾根の北部に広大な干拓水田を抱えているのです。ここまで書いてカンの良い方ならお気づきになったかもしれません。そう、この地域は水田を支える水源となる後背地(ヒンターランド)である山林に極めて乏しいのです。それ故に、水田の単位面積あたりの集水域は他地域に比べて極端に小さく、また、いったん降った雨水を蓄えるバッファーとしての森林もわずかしかありません。それ故、この地域は昔から水不足に苦しみ、その水田の水路網はいったん降った水をくわえ込んで離さないようになっているのてす

イサハヤ干潟通信第4号より転載*


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