諫早干潟緊急救済本部 代表 山下弘文 他一同

 全国のみなさま。明けましておめでとうございます。
 激動の昨年にも増し、本年も引き続き強力な取り組みをもって望む所存です。今後とも、尚一層のご協力とご支援をお願い申し上げます。

 内山田弘とクールファイブの「長崎は今日も雨だった」の歌のように、除夜の鐘が鳴ると同時に、諌早地方では雨が降り出しました。この雨は元旦の正午まで降り続きました。
 干からびた干潟の奥底に、今なお忍耐強く生き抜いているムツゴロウやカニたちや貝類にとっては、またとない貴重な新年のお年玉だったことでしょう。

 昨年は本当に激動の年でした。4月14日のあの衝撃的な諌早湾締め切り以降、明日何が起こるか分からないという日々が続きました。最近流行の「複雑系の科学」を信じさせられる毎日だったといえます。
 問題は「ムツゴロウか人間か」という低レベルの問題ではありません。戦後の公共事業の在り方そのものが、これほど多くの人々の間で語られた年はなかったのではないでしょうか。

 諌早湾干拓事業がもたらした真の効果は、戦後の民主主義そのものが根本的に問い直されつつあるということだと思われます。「一度、決定された公共事業は決して見直されることはない」という神話が音を立てて崩れつつあります。建設省も農水省もダムや農道空港、干拓事業などを中止したり、見直さざるを得ないところまで追い詰められています。私たちはこれを「ギロチン効果」と呼んでいます。
 確かに昨年、水門は解放できませんでしたが、今年は根本的に諌早湾干拓事業が見直される年であろうという強い予感がしています。問題は、一人一人の意志と行動にかかっていると思います。

 本部の専従者を始め多くの仲間たちも、水門が解放され、干潟が回復し、生き物たちの賑わいが見られるよう、また、日本の公共事業が本当に国民の為になるような事業に転換できるまで頑張ろうと決意を新たにしています。現地、諌早でも全力を挙げますので、全国のみなさんも、さらに強力なご支援とご協力を再度お願いして、新年のごあいさつと致します。

イサハヤ干潟通信第5号より転載*


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