長崎県内7市模擬住民投票---9割以上が「見直し」

 2月2日は「世界ウエットランド(湿地)デー」。その前日の2月1日に、諫早干潟緊急救済本部と日本野鳥の会長崎県支部は長崎県内7市(福江を除く全市)において、「模擬住民投票」を行った。この「住民投票」は、繁華街など街頭に「推進」「見直し」と2つに区分けされたボードを立て、通行人にシールを貼ってもらう方法で行われた。昨年12月14日、諫早市本町アーケードで実施したこれと同様の「住民投票」では、2時間で投票総数822票、うち「見直し」93.4%となり、「国営諫早湾干拓事業は地元の強い要望で行われている」とする政府・農水省はじめ行政側の論理を覆す結果となった。

 さて今回は12時〜15時までの3時間(長崎市は11時〜14時)県内7市で一斉に投票を開始した。結果は以下の通りである。

  長 崎 佐世保 諌 早 大 村 島 原 平 戸 松 浦 合 計
推 進 144
5.2%
66
5.0%
77
7.5%
51
5.7%
22
5.0%
5
2.6%
34
9.9%
399
5.7%
見直し 2612
94.6%
1267
90.5%
940
92.0%
839
93.6%
415
94.5%
191
97.4%
283
82.3%
6547
93.7%
その他 5
0.2%
0
0%
5
0.5%
6
0.7%
2
0.5%
0
0%
27
7.8%
45
0.6%
合 計 2761 1333 1022 896 439 196 344 6991

各地の様子

  • 長崎市
     中心街「浜の町アーケード」で。浜の町は道路使用許可の申し込みが多く、許可証の取れた11時〜14時まで投票を行った。17名がスタッフとして参加。「ランタン祭り」開催中で人通りも多く、総投票数2761票という驚異的数字となった。現場では数えきれず、救済本部事務所でカウントした。中には「絶対見直し!!」と力を込めてシールを貼り付ける姿も見られた。14時から知事候補の田辺敏徳氏(無所属)の演説会があり、演説前の田辺氏が投票後のボードを前にした記念撮影の中央に納まるという出来事もあった。「田辺氏は公約として干拓事業を取り上げる義務がある」とは参加者の弁。
  • 佐世保市
     四カ町アーケードで。川内野善治日本野鳥の会長崎県支部副支部長がマイクを取り演説、原田敬一郎氏がギターで「風に吹かれて」を弾き続ける。特に中高年層で、通り過ぎる人が多かったが、それでも1333票を獲得。「県北は若干関心が低いのでは」(原田氏)。「この事業は必要!」と2回投票したおじさんがスタッフに議論を吹っかける場面も。しかし圧倒的な「見直し」多数に「参加スタッフに自信が出来たのでは」。
  • 諫早市
     前回と同じ本町アーケードで行われた。他地区に人手を割かれたため、前回に比べスタッフが手薄。それでも10名程が参加した。開始直後「いまさらやめたらもったいないばい!」と推進側に貼る方、「うちは浸水が減ったわ」と言いながら貼る市議会議員など、一次は「推進」と「見直し」が拮抗。事前の新聞報道で「確信的」推進派らしき人たちも若干集まったようだ。一方「私は組合で、山下しぇんしぇいにお世話になったもんですが、動員をかけていきますけん」と本部に電話をかけてきた人が、5人ほどの「組織的動員」をかけて投票していく姿も見受けられた。結果的には1022票も集まり、前回同様「大成功」だった。
  • 大村市
     この市では中心街といえる所に人が集まらないため、郊外スーパー「ジャスコ大村店」前で行った。(店長の許可あり)スタッフは8名ほど。「始めはそんなに人が来るかな、と思っていた」が、896名の投票と5000円ほどのカンパが集まった。「郊外店の集客力を思い知った」と参加者。
  • 島原市
     中堀町アーケード、スーパーほていや前で。アーケードは人通りが少なく、近くのダイエー駐車場で最初投票を行ったが、事前新聞報道で「ほていや前」となっていたため移動。415人の投票があった。3時の締切前に「あわてて来ました」との駆け込み投票も。
  • 平戸市
     ここの商店街は、休日お休みのため、人通りが非常に少なかった。3時間で191票。しかし「見直し」が97.4%と県内1位の効率。
  • 松浦市
     野鳥の会メンバー5人が活動。投票総数344票。「見直し」が82.3%と他と比べ低率だった。「県北は無関心なのでは」「火力発電所ができて、公共事業に対する見方が必ずしも悪くないからでは」などの意見が出た。

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